全編モノクローム35ミリフィルムで撮影された映像は、残酷でありながらも自然にあふれた田舎の雄大な景観と見事に調和し、強い余韻を残す。 ウッチ大学卒業後、ワルシャワのポーランド科学アカデミーの研究員となるも、1957年、アメリカに亡命した。 ユダヤ人に見えるというだけで、 災厄に見舞われる少年という設定は、 人集差別という行為が本質的に 帯びている理不尽さを際立たせます。
3本書は少年の「成長」を描いたサバイバル小説であり、同時にホロコースト小説でもあるのだ。
どこへいっても異物として攻撃、排除される「ペンキまみれの鳥」たる少年の彷徨を描くなかで、人々のなかにある暴力のありようを、さまざまな形で描き出そうとしているのが本作だといえるだろう。
3少年がどれほど自分はユダヤ人やジプシーでないといっても通じず、信用されず、さまざまな絶望の挙げ句に言葉を失うわけだけれど、これは彼のいる状況ではもはや言葉が用をなさなくなったことをも示している。
先に両親の云々の微妙な 書き方をしたように、 ユダヤ人のアイデンティティ問題は、 今日でもイスラエル国家が 頭を悩ませるほどの、 錯綜した問題です。 映像化に際しては、架空の言語を用いて地域が特定されないように配慮し、また主人公を演じる子役に害が及ばぬように危険なシーンは大人のスタントを利用したとのことです。
9それから4年間、少年は何とか生きのびるべくたった一人で村から村へと彷徨するが、その間に彼が目撃した/体験した言語に絶する地獄絵図を、一人称で記したのが本書である。
『異端の鳥』ということで、カラスやら小鳥やらも暗示的に登場。 ペインティッド・バードというタイトルは、「ペンキを塗られた鳥は庇護を求めて他の鳥に擦り寄るが、鳥たちはその鳥を異物として迫害し、ついには殺してしまう」遊びからつけられています。 とドイツ軍、との戦い、湿地のある風景から、舞台はかどこかではないかと想定される。
10それは少年の異質さが生む問題であり、少年のせいではなく発生した問題を、少年に押しつけて解決を図る構図でもある。
== 『異端の鳥』(原題:The Painted Bird) 東欧のどこか。 1965 年、英語で書いた『ペインティッド・バード』がベストセラーとなる。 新型コロナウイルス感染拡大による影響で公開延期となっていた同作だが、新たに10月9日よりTOHOシネマズシャンテ他にて全国公開されることも決まった。
2グロの文脈で語られる事もある本だし、戦争物でグロいのは当たり前かと思ったけど、戦時下の狂気に久しぶりに揺さぶられるような作品だった。
かれらは孤児を見つけては凌辱し殺害する。 とそのうち、カルムイク人がある村を徹底的に蹂躙する事態に巻き込まれる。
2「現代文学」的テーマを総覧したような様子だけれど、これは二十世紀の<東欧>がいかに困難な場所だったか、ということを映し出しているからだ。